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2020.11.02

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回想 それぞれの世界選手権 第3回〈全6回〉 伊藤美誠(2017年8月号から)

  • お互いの長所を活かし女子ダブルスで3位にランクインした伊藤美誠選手(右)と早田ひな選手

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。

 

2017年世界選手権デュッセルドルフ大会(個人戦)に、日本代表として出場した石川佳純森薗政崇伊藤美誠早田ひな田添健汰佐藤瞳の各選手が大会を振り返る「回想 それぞれの世界選手権」。
第3回は伊藤美誠選手です。
中国選手がなぜ強いのか、勝つためには何が必要なのかを分析します。
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。文中敬称略
本誌記事ページはこちら!

 

2020年へのイメージはできている

 

2年前の2015年の世界選手権蘇州大会に初出場。女子シングルスでベスト8入り。世界に衝撃を与えた。そのまま疾走した伊藤は、リオ五輪出場を達成。さらに成長を遂げた。
平成28年度全日本選手権(2017年1月)が終わり、世界選手権の代表が発表され、リストに伊藤はシングルス、ダブルスにエントリーされていた。
世界選手権前に、アジア選手権で試合ができ、なおかつ世界選手権で使われる大会球(ニッタク)でプレーできたことが大きかった、と話した。
「早田選手とのダブルスは、1月に発表されましたけど、実際に練習できたのは2カ月間ぐらい。ペアを組む期間が短くて、いきなり試合に臨むのは、難しい部分があります。
ただ、アジア選手権という大きな舞台で、世界選手権と同じニッタク3スターボールで試合ができたことで、アジアの選手がどういうプレーをしてくるのかの情報が手に入りましたし、そして、メダルが取れたことは自信につながりました」

 

ペアを組んだ期間は短かったが、お互いに組みにくさはなかったという

 

アジアから世界へ
世界選手権デュッセルドルフ大会の組み合わせは、現地時間の27日に発表された。
「ダブルスに関して言えば、実際にチャンスがある。チャンスはモノにしないといけない、と思ったのが本音です。ただ、世界選手権は何があるかわからない、ということを経験していたので、気持ちは引き締めていました」
女子ダブルスが始まる。お互いがお互いをフォローし合う内容で、順調に勝ち進み、メダルが確定。準決勝では、丁寧(アドバイザリースタッフページ)・劉詩雯(中国)と対戦する。試合は接戦となるも、あと1本が取れず、ゲームカウント1対4で敗戦する。
「最初の2ゲームを取れていたらわからなかったです。チャンスはあるな、と感じていました。
しかし、2本差でリードした場面や、チャンスの時を活かせない。そこの場面で点数を取れた方が、勝つ、とわかっているのですが、点数が取れない。やはり、精神面、技術面が足りないんですよね」
ただ、普段ならつなぐようなボールを強気にいけたこと、サービス、レシーブ、3球目攻撃は通用したことや、試合を最後まで楽しめたことは良かった、と冷静に分析した。

 

中国選手と互角以上に渡り合った

 

戦術転換。「1本」の重み
伊藤はシングルス4回戦で朱雨玲(中国)と対戦。互角以上のラリー、特にバックハンドのラリーでは伊藤が上回っていたが、ゲームカウント2対4で敗戦してしまう。
「勝てるチャンスは十分にありました。しかしダブルス同様、最後が取れない、リードしていても突き放せない、という印象です。本当に中国選手は戦術転換がすごく早く、引き出しがたくさんあるんです。
女子シングルス決勝を見てもそう。丁寧選手は決勝の舞台を何度も経験しているのに対し、朱選手は、経験していない。そこの差が思い切りの差につながったと思うんです。どちらが勝ってもおかしくない内容でしたけど、丁寧選手の方が、試練を多く乗り越えてきているからこそ、優勝できたんだなと思います」と感想を話す。

 

大会を通じて世界に通用する戦いを見つけた

 

もう怖いチームなんてない
世界で勝つために、通用した部分もたくさんあったと話す。
「攻めて行く姿勢は良かった。特に、中国人選手には攻めて行かないと勝てない。どんどん攻めて行かないといけない。
ただ、攻めるだけでなく、安定性を高めた攻めをしないと点数が取れないと思います。
また普通に攻めるだけでなく、自分自身のオリジナリティ、独自の部分の精度をあげること。そこが大きいと思います」
目標はあくまでも2020年の東京五輪とも話した。
「来年から世界ランキングのシステムも変わります。1試合1試合頑張って、1つ1つ世界ランクの階段を上がっていきたい。
日本選手のレベルが非常に高いので、世界選手権に出るのも難しい。ただその分、切磋琢磨できるし、成長ができる。
日本選手のレベルが高くなることは、団体戦の時は有利。もしかしたら、2020年には、最強のチームができ上がると思うとワクワクしますし、その一人でありたい」
世界で戦うことを肌で知る。若いうちから刺激を得ることは、実力をつけること、新たな成長をするためには、必要不可だ。
2020年まであと3年。伊藤は目標に向かって疾走する。

 

次回は11月6日に配信!
早田ひな選手が2017年世界選手権を振り返ります!