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2020.10.23

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回想 それぞれの世界選手権 第1回〈全6回〉 石川佳純(2017年8月号から)

  • 日本の混合ダブルス金メダルは48年ぶり。初めて手にする金メダルとカップに笑顔

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。

 

2017年世界選手権デュッセルドルフ大会(個人戦)に、日本代表として出場した石川佳純選手、森薗政崇選手、伊藤美誠選手、早田ひな選手、田添健汰選手、佐藤瞳選手が大会を振り返る「回想 それぞれの世界選手権」。
第1回は石川佳純選手(全農)です。
苦しい展開から逆転し、混合ダブルス優勝に輝いた石川選手がどのような思いで試合に臨んだのかを語ります!
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。文中敬称略
本誌記事ページはこちら!

 

揺るがない信念と情熱を持って

 

2017世界選手権デュッセルドルフ大会で、混合ダブルス優勝を達成。新たな進化を遂げた石川は、現状に驕ることなく、さらなる目標に向かって、確かな自信を覗かせた。
石川は、平成28年度全日本選手権大会(2017年1月開催)の決勝を勝利で飾ることができなかった。「やってきた練習の方向性は間違っていない。これからも練習をやりこみたい」悔しい気持ちを抑えながら、決勝戦直後に話した表情を覚えている。

 

失ってしまった「全日本女王」という称号
迎えた3月のライオンカップジャパントップ12。表情からは強さや気迫が滲み出ていた。それはつい最近まで、「女王」として活躍していた頃のままだった。
「全日本選手権に敗れて約2カ月。色々なことに取り組みました。今日の優勝は、攻めて、攻めてできた優勝。久々に『スカッ』としました」会心のプレーができたのだろう。笑顔の会見であった。
恐らく特に何か特別な練習、準備をしたわけではない。とにかく必死で練習をして、全力で日々を過ごしてきた。その結果があのパフォーマンスにつながったのだろう。
4月。アジア選手権が中国・無錫で行われた。石川は参加しなかった。その大会で日本勢が躍動。全日本選手権を制した平野美宇(JOCエリートアカデミー・大原学園)が、中国3選手を連破し優勝。団体戦でも日本は銀メダルを獲得。「後輩」たちが底力をみせた。
「平野選手の活躍は、刺激になっています」と石川のコメントが書かれた記事を読んだ。きっと石川は燃えていた…。

 

混合ダブルスでは決勝、準決勝ともに逆転勝利を決めた

 

混合ダブルスは絶対に優勝したい、という気持ちだった
「(世界選手権は)前回大会で準優勝。今回は自信というか、絶対に優勝したい、優勝しなきゃ絶対にダメ、という気持ちでした。ですから、シングルスと同じくらい混合ダブルスの練習をしました」
混合ダブルス準決勝。吉村真晴(名古屋ダイハツ/6月よりファースト)・石川組は、方博・ゾルヤ(中国・ドイツ)ペアに、ゲームカウント1対3とリードを許す苦しい展開だった。
「苦しい展開でしたが、最初の2ゲームが、勝っても負けてもおかしくない展開での0対2。そんなに落ち込まなくてもいいんじゃない、という話を2人でしていました。点数を気にせず、1点ずつ良いプレーをして、諦めずにプレーできたことで、逆転勝利できたと思います」
迎えた決勝。対戦相手はチャイニーズタイペイの陳建安・鄭怡静。
「お互いにシングルスではあまり得意でない相手。実際に試合してみて、ラリー戦もうまいし、打ってくるコースも厳しい。そして、競り合いになるけど、なかなかあと『1本』が取れない。という感じでプレーしていました。
ただダブルスは、2人でプレーします。調子が良い方がリードする、助けていく、というイメージ。私の調子も悪くなかったですし、吉村選手も尻上がりに調子を上げてくれました」
決勝は準決勝同様。ゲームカウント1対3からの劇的な挽回勝利。最後は、石川が自ら放ったスマッシュが決まり、優勝が決まると、緊張が解けたのか、大粒の涙を流した。

 

積極的にフォアハンドで攻めた

 

地道な努力の積み重ねが「中国」との距離を縮める
女子シングルスは、2009年の横浜大会以来のベスト8入り。
丁寧選手と試合。敗れはしましたが、これまでの対戦の中で、一番良い内容で、手ごたえがありました。技術的に足りないところを感じることができて、悔しかったですけど、次に向けて良い感覚の部分があります。
打点の早い攻め、サービス、3球目攻撃、フォアハンドの強化。あとは、バック対バックで振り切っているときは手ごたえがありました。やっぱり守っているだけじゃ勝てない。攻めて行くスタイル。このスタイルを確立しないといけない」
混合ダブルス世界チャンピオンとなった石川。その「混合ダブルス」が、東京五輪で、競技種目に採用されることが決まった。
「卓球人として、五輪の種目にメダルが増える、というのは嬉しいです。私たちが優勝したことが種目追加のアピールになっていたら余計に嬉しいです」と笑顔で話した。
石川は24歳にして世界選手権に今回で11回目の参加である。
「世界」を相手にプレーするアスリート。常に世界トップレベルを維持するために、常に進化が求められる。
経験から学ぶことは多い。学びを忘れないことでさらに成長できる。そして、自分が信じてきた道を突き進んでいけば形になる。
石川佳純の活躍こそが、石川佳純自身を強くする。

 

 

次回は10月28日に配信!
森薗政崇選手が2017年世界選手権を振り返ります!