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2020.10.16

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インタビュー 平野早矢香 最終回〈全3回〉 JA全農2014世界選手権東京大会準決勝で逆転勝利! (2014年9月号から) 

  • 準決勝の激戦に勝利した瞬間

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。

 

現在、テレビのコメンテーターや解説などで活躍中の平野早矢香さんが歴史に残る名試合を演じ、31年ぶりとなる銀メダル獲得に貢献したJA全農2014世界選手権東京大会(団体戦)後に行ったインタビューをピックアップ!
第3回は、呉穎嵐選手に0-2から大逆転勝利を収めた準決勝の中国香港戦、そして決勝の中国戦を振り返ります。
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。文中敬称略
本誌記事ページはこちら!

 

0-2の4-9の時のスコアは覚えていないです…

 

――次の中国香港戦は、3番に出場。試合は0-2の4-9まで追い詰められ、そこから逆転勝利。試合後、点数は覚えていなかった、と言っていましたが。
平野 呉穎嵐選手とはこれまで何度も対戦していて、私のボールにタイミングが合うのだと思うのですが、3連敗しています。今回も当たるのがわかっていたので、今までの戦い方ではダメだと思っていました。
試合の入り方とか、サービスを変えたりして試合に臨みました。ただ実際は、良いカタチで点数を取れていただけではなく、私の予測していないプレーで点数が取れていただけだったので苦しい内容でした。1、2ゲーム目はリードしていたのに落としてしまいました。
――流れ的には最悪と言ってもいいかも知れませんね。
平野 そうですね。3-0で負けるパターンだったと思います。
――3ゲーム目も苦しい内容でした。
平野 1、2ゲーム目は良い流れだったにも関わらずモノにすることができなかったので、3ゲーム目はあのような出足になってしまいました。凄く苦しい状況でしたが、自分のパターン、軸となる戦術を作らなければいけない、それをずっと探していた、という感じです。
少しずつ相手が勝ちを意識するようになり、力が入ってきたこともあったと思うし、自分の中でもこれが一番いいかな、というのが出てきて、それを信じてやる、という状況でした。
――具体的にはどうわかったのですか。
平野 呉選手は、レシーブでチキータをしてくる選手で、そこに対応できていませんでした。
どのサービスが良いか、色々と考えていました。縦回転のサービス、コースを変えたり、長いサービスなどを考えたのですが、自分の中で、コレといった答えが見つからなく、ミドルから短くフォア側に出して、チキータしてくるだろうけど、それを取れなかったらしょうがない、という気持ちになりました。あとは、攻める時はフォアミドルに打って、ブロックをさせるようにして、ミスを誘うようにしました。
――4-9という点数はわかっていたのですか。
平野 6-9で相手がタイムアウトを取った場面は覚えていますが、他は覚えていません。9-9から相手が先にマッチポイント取ったのも覚えていなくて、言われて初めて気が付いた感じです。1本ずつ集中していたと思います。
――結果は大逆転勝利となりましたが。
平野 普通だったら負けている試合なので、みんなに凄いね、と言われても…。1本違っていたら負けていて、みんなに謝っていたと思います。今でもその状況は信じられないですし、もう1回やってくださいと言われてもできないと思います。
――決勝の中国戦は。
平野 3番で劉詩雯選手と対戦しました。色々なイメージを持って試合に臨んだのですが、劉選手のできがよく、一方的な試合になってしまいました。試合中は、全然だめだったな、という印象でした。しかし、試合が終わって見直したら、3-0のスコアでしたが、自分のできる最高のプレーはしたんじゃないかな、と思います。ただ、自分が思っているよりも、中国との差はあるな、と感じました。
――31年ぶりの銀メダル獲得の気持ちは。
平野 これまで2回地元の世界選手権を経験しているのですが、どれも不完全燃焼の内容でした。そういう意味では、私も含めて、チーム全員が力を出し切ることができたし、5人全員が自分の役割を発揮して終わった大会は、今回がはじめてではないかな、と感じた面もあるので、とても満足行く結果だったと思います。また地元開催で、大きな声援を背にプレーすることができました。このような環境で試合ができたことは幸せだと思います。
――周囲からは、精神面が強いと言われていますが、ご自身では。
平野 自分の分析なのですが、実力がないので、簡単に勝てる相手でも競り合いになってしまい、なんとか勝っているイメージがあるからだと思います(笑)。
ただ、今まで試合の途中で絶対あきらめる、ということはしたことがなくて、どんな場面でも最後までなんとかしよう、と小さい時からプレーしています。今回はたまたま上手くいって、諦めないでやって良かったな、と思えました。また団体戦ですと、個人戦ではないプレッシャーがかかってきます。今までの経験の積み重ねが今回の大会だったと思います。
――試合中はどんな気持ちでプレーしていますか。
平野 自分自身のことだけに集中してしまいがちですが、相手がいるスポーツなので、相手を見ながら自分に集中するバランスが大事だと思います。
プレーが悪い時は、自分に集中しすぎてプレーしている時だと思います。今回は、比較的相手を見ながら、冷静にプレーできたので、そこが良かったと思います。
――今後の目標は。
平野 リオオリンピックが大きな目標です。ただオリンピックまでにも色々な試合があります。その試合がリオにつながると思うので、口だけではなく、自分の実力をつけていかないといけません。
これまでの経験も大切ですが、ボールも変わるので、ゼロからのスタート、という気持ちで練習していきたいと思います。
――お疲れのところ、取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。

 

31年ぶりの銀メダル獲得となった