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2020.12.28

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「次は絶対に優勝しよう、と決めた」インタビュー 木造勇人 全日本選手権ジュニア男子優勝(2016年3月号から)

  • 初めて手にした優勝杯ともに

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。

 

愛工大のエースとして活躍し、2019年では世界選手権ブダペスト大会に悲願の出場を遂げた木造勇人選手が、初めて栄冠を獲得した平成26年度全日本選手権大会ジュニアの部のインタビューをピックアップ。インターハイ決勝で敗れた悔しさをバネに臨んだ全日本ジュニアを振り返ります。
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。文中敬称略
本誌記事ページはこちら!

 

去年負けた時点で、次は絶対に優勝しよう、と決めた

 

ジュニア男子決勝。ゲームカウント2対1。スコアは13-12。悲願の初優勝まであと1点だった。緒方遼太郎(JOCエリートアカデミー/帝京)のサービスをしっかりストップレシーブ。緒方の3球目攻撃を封じると、木造の4球目攻撃。回り込みフォアハンドがストレートに決まる。その瞬間、普段は大人しい木造勇人(愛工大名電高)だが、両手を高く突き上げ、喜びを爆発させた。

 

高校生最大の目標であるインターハイ。木造はダブルスに優勝。シングルスは決勝に進出。ゲームカウント3対3の8-5でリード。1年生チャンピオンの誕生を予感させた。しかし優勝を意識したのか、そこから消極的なプレーをしてしまい逆転負け。悔いの残る準決勝となってしまった。
迎えた全日本選手権ジュニアの部。インターハイの結果から、木造はスーパーシード。3回戦から登場した。
「はじめてのスーパーシード。いつもと勝手が違う。慣れてないというか、変な緊張感がありました。とにかく思い切って声を出してプレーしなければいけないと思っていました」と語る。
順調に勝ち進み、準々決勝では、先輩・松山祐季(愛工大名電高)と対戦する。
「練習試合の結果は五分五分。勝つ時でも3対2。ただ、今回は戦術というか、何をすれば良いかイメージすることができて、勝つことができました」と準決勝進出を決める。
決勝前夜。ゲンを担ぐために、縁起の良いユニフォームを着ていいですか、連絡が入った。「もちろん」と返せば、絶対に優勝します、と強い決意が返ってきた。迎えた決戦の日。木造は、ジュニアの試合の前に一般の部、ダブルスで敗戦。失意のまま迎えたジュニア準決勝の伊丹雄飛(野田学園高)戦。気持ちの切り替えがうまく行かなかった。
「切り替えよう、切り替えよう、と思っていたのですが、どこかで引きずってしまっていたと思います。相手に0-2とリードを許す展開。この時『みんなが見ている。情けない試合はできない。まだ負けていないし、ゼロからやり直そう』そう思いました」
そこから木造のプレーは変貌。3、4ゲーム目を取る。流れは完全に木造。しかし勝負はそう簡単にいかない。5ゲーム目は凡ミスが重なり、気が付けば0-5。厳しい流れでチェンジエンド。
「凡ミスが重なっていたので、凡ミスをなくすようにプレーしました。とにかく諦めない。
これだけでした」
点数を考えずにプレーした木造。気が付けば、10-9とマッチポイントを握る。しかし、ここでもロングサービスをミスするという凡ミスを犯したが、何とか勝利、決勝に駒を進めた。
決勝の相手は緒方遼太郎(JOCエリートアカデミー/帝京)。準決勝の相手同様、「チキータ」を得意とする選手だ。
「準決勝が終わり、決勝まで練習場で準決勝の修正をしました。それがうまくいったので第1・2ゲーム取ることができました」と木造。
勢いは完全に木造。このまま優勝か、と思われた。しかし3ゲーム目から木造は消極的になってしまう。
「3ゲーム目を落とし、インターハイを思い出してしまいました、このまま負けてしまうのではないかと。ただ、ここで弱気になっても仕方ない。攻める気持ちを持たなければ勝てない、そう思えたんです」。4ゲーム目もリードを許し、マッチポイントを握られるも、最後まで攻めて優勝をもぎ取る。特に優勝を決めた最後の1本は小学生時代から課題としていた回り込み攻撃での得点。悪夢を振り払った瞬間であった。
小学校1年生から卓球を始める。字を書く、箸を持つのは右手。ラケットも最初は右手で握る。しかし母・清子さんの勧めにより左手に持ち替え、卓球を続け、今では違和感がないそうだ。
普段から練習が大好き。ビデオ研究も好きで、左利きのトップ選手のビデオを見ては、練習に役立てている、と話してくれた。
「全日本選手権では、名電の仲間、愛工大の先輩、卒業生の先輩の応援が凄く力になりました」と話してくれた。
大きな夢は2020年の東京オリンピックに出場すること。直近では、3月に行われる全国高校選抜の団体戦で優勝し、インターハイで3冠王になること、と話してくれた。
小さい頃から、才能溢れる左腕として注目されていた木造。全日本選手権優勝、というタイトルを手にしたことにより、さらに覚悟が芽生えたようだ。
「全日本選手権の一般の部で勝てるようにしないといけませんね」と、一般の部のスーパーシード選手の試合を観客席で見ながら話してくれた。

 

優勝を決めた瞬間。珍しく感情を爆発させた

 

▼2016年全日本選手権大会 ジュニア男子 結果
3回戦
木造勇人 3(8.9.-10.7)1 蛭田龍(希望が丘高)
4回戦
木造勇人 3(-8、3,3,1)1 青柳伸太朗(湘南工科大附属高)
5回戦
木造勇人 3(5,10,10)0 戸上隼輔(野田学園高)
準々決勝
木造勇人 3(-7,1.9.4)1 松山祐季(愛工大名電高)
準決勝
木造勇人 3(-9.-3.9,6,11)2 伊丹雄飛(愛工大名電高)
決勝
木造勇人 3(6,3,-3,12)1 緒方遼太郎(JOCエリートアカデミー/帝京)