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2020.12.11

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インタビュー石垣優香 前編 世界選手権東京大会までの道程(2014年月7号から)

  • 世界選手権では決勝トーナメントのオランダ戦などで活躍した

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。

 

2018年に引退し、現在はTリーグの日本生命レッドエルフとして活動するかたわら、一児の母でもある石垣優香さんが、「現役時代もっとも印象に残る大会」として挙げている2014年世界選手権東京大会後に行ったインタビューをピックアップ。福原愛さんの欠場により急遽抜擢されながらも、日本にとって31年ぶりとなる銀メダル獲得に貢献。
しかし、その華々しい活躍までに歩んだ苦しい日々を振り返り、どのように変化を成しとげていったのかを振り返ります。
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。
本誌記事ページはこちら!

 

結果が出ない時期があった。自信がついてプレーが変わった。

 

石川佳純選手(全農)とともに日本チームのダブルエースとして活躍が期待された福原愛選手(ANA)が左足疲労骨折のため、代表を辞退するというハプニング。
3月19日、石垣優香選手が交代選手として選出された。
「福原選手の欠場は日本にとって大きいですが、私も責任をもって全力で戦います」とコメント。
石垣選手は、2008年、2010年ITTFプロツアーグランドファイナルU-21で優勝し、将来を嘱望された。しかし、カット主戦型ということから国際大会では活躍できるが、国内ではカット打ちのうまい選手が多く、思うような成績を残せない。
2009年の横浜大会(個人戦)は、代表に選ばれたが、2010年のモスクワ大会(団体戦)では、メンバーから外れた。
苦しい日々が2年間続いたが、2012年ドルムント大会の団体メンバーに選ばれた。だが、大会後また国内で結果の出ない日々が続き、やがて格下の選手にまで負けるようになる。
小さい頃からあれほど好きだった卓球がいつしか嫌いに。やがて卓球を辞めたい、とまで考えるようになった。
そんな石垣選手に転機が訪れたのは、2013年11月、ドイツで開催されたワールドツアーであった。
「それまで、どんなに練習しても成長している感じがまったくなく、自信が持てなかったのですが、ドイツのプロツアーで馮天薇選手(シンガポール)に勝つことができました。その1勝で自信を持つことができました」と話した。
迎えた世界選手権東京大会。そこには、福原愛選手の“交代選手”としてではなく、“日本代表選手”としての石垣優香選手がいた。
ひょっとしたら、石垣選手の活躍なくして、今回の銀メダルはなかったかもしれない。

 

――最初のメンバー発表の際、石垣さんの名前はなかったわけですが、悔しさは
石垣 個人戦でしたら、少しチャンスがあるかな、と思っていましたが、今回は団体戦ですから、きっとロンドンオリンピックメンバーが中心となり、選考会で代表権を獲得した田代早紀さん(日本生命)に、あと1人は誰かな、という心境でいました。
海外ではある程度納得のいく成績をあげていたと思いますが、全日本では良い成績をあげることができませんでしたから、選ばれなくても仕方がない、という気持ちでした。
――福原選手の欠場が決まった時、代表の可能性は、ということは。
石垣 欠場と聞いたときに、「もしかしたら」と思い、心の準備をするとともに、練習の時も自分が出る意識を持って取り組みました。でも選ばれなかった時のことも考え、準備をしていました。
発表で私の名前が呼ばれた時は、私でいいのかな、という気持ちがありました。しかし、選んでいただいたからには、出たくても出られない人のためにも、頑張ろうと思いました。
――代表になるのは2012年ドルトムント大会以来となりましたが、発表から大会まではあまり時間はなかったわけですが。
石垣 今回は日本開催ということで、ドルトムント大会とはまったく違うと思っていました。例えばみなさんの期待であったり、応援の雰囲気であったりとか。そこをイメージして毎日練習しました。
――話は戻りますが、ここ1、2年何か悩んでいて、思うようなプレーができていない、という印象があったのですが、昨年の後半から急にプレーが変わりました。
石垣 1年ぐらい全然勝てない時がありました。周りの方にもたくさん助けてもらい、いろいろ試しながらやっていたのですが、うまくいきませんでした。
今振り返ってみると、技術的なことよりも精神的な部分が大きかったと思います。以前は自分に全然自信が持てなくて、試合をしても勝てる気がしないし、ボールも入る気がしない中でプレーしていました。正直、練習もしたくなかったです。
ただ、どうにかしよう、次の日は良くなるだろう、という気持ちで毎日練習できるようになり、少しずつ良くなっていきました。ちょうどその時、昨年の11月の話なのですが、ドイツオープンで、馮天薇選手に勝つことができました。この時に、自分がいろいろやってきたことは間違っていなかった、という自信がつき、プレーも変わっていったと思います。

 

後編は12月15日配信予定!
2014年世界選手権東京大会を振り返ります!