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2020.11.24

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インタビュー石川佳純 3連覇を達成した全日本選手権を振り返る(2016年4月号から)

  • 女子シングルスで3連覇を達成した

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップしてお届けするページです。

 

全日本選手権大会女子シングルスで4度の優勝を誇り、日本のエースとして走りつづけている石川佳純選手(全農)が3連覇を果たした2016年全日本選手権後に行ったインタビューをピックアップ。全日本選手権を振り返りながら、前年と今年を比較して見えてきた課題や、自身の強みを語ります。
*所属・年齢は当時のままです。
*ここに紹介の記事は、本誌記事を一部抜粋、編集しています。文中敬称略
本誌記事ページはこちら!

 

全日本選手権で見せた進化の一歩。優勝という自信を胸に

 

前日まで明るかった会場は、整備され、最終日の会場は照明が落とされ、コートのみがライトアップされている。
いよいよ決勝戦。期待を盛り上げる演出が行われた後、石川佳純の名前がコールされる。選手入場口にライトが当てられる。拍手が起きる。石川は実に6年連続の決勝の舞台。拍手に応えながら走る彼女の姿は、充実した姿である。
決勝の相手は平野美宇。準決勝で同期の伊藤に完勝。勢いに乗っている。
決勝戦がはじまる。全日本選手権という独特の雰囲気。普段では味わえないシチュエーション。素晴らしい試合を期待する。
しかし幾度となくたかれるカメラのフラッシュに、平野はその都度プレーを止め、審判に注意を促す。明らかに試合に集中できていない。しかし経験豊富の石川は動じない。足をその場で動かしたり、軽くうなずくなど、自分の世界を作って集中している。少しのことでは動じない女王としての貫禄があった。

 

1本ずつ落ち着いて、冷静に
本当の試合がはじまったのは、第4ゲームからであった。石川がゲームカウント3対0、8-5とリード。石川の優勝を予感させるような内容で終始試合は進んでいた。
しかしここから平野が目の覚めるような怒涛の攻撃スタイルを見せる。やや受け身になってしまった石川は、このゲームを落としてしまう。
5ゲーム目。平野はさらに勢い付く。ネットインなどを含め、7-2とリード。石川の表情も明らかに前半のゲームとは違うのが伺える。平野が9-4とリード。次のラリーは石川のバックハンドが決まり、9-5となる。
「流れは確かに相手に傾いていたと思います。9-5となり、点数は気にしないで1本ずつ取っていこう、と少し冷静になれていたと思います。仮にこのゲーム負けてもゲームカウントは3対2。まだリードしている。守りに入らず、落ち着いてプレーすれば良い」と石川はそのときを振り返る。
そこからゲームは石川の流れとなる。平野も攻めのプレーを見せるが、石川はさらにその上を行く。気がつけば石川がマッチポイントを握る。そして次のラリーを石川が制す。優勝が決まった瞬間、両腕を高々と上げ、喜びを表現。暗闇に沈んだ東京体育館に、歓喜が弾けた瞬間であった。
「優勝は素直に嬉しいです。今年はリオオリンピックが開催される年。全日本で優勝して良いスタートを切りたかったので、今回の優勝を自信に変えたい」と記者会見で話した。石川は4度目の全日本選手権制覇。
全日本選手権での勝利数を通算54とした。

 

平野美宇選手との接戦を制し全日本選手権を優勝した

 

際立つ石川の強さ。1強時代到来か!?
スター選手が多い女子卓球界。今回の全日本選手権では、ベスト8入賞者のうち6名が10代と、世代交代が進んだ印象。その中、石川は6年連続で決勝に進出、しかも3年連続で優勝するなど、無類の強さを示している。
今回も貫禄というべきか、対戦相手はみな「石川佳純」を意識してプレー、自分たちから「何か特別なことをプレーしなければいけない」という心理に追い込まれてしまい、力みが生じる。もちろんリスクを負って攻めるしか打開策はない。石川佳純は、ネットの向こうにいるだけで相手にミスを強いるのだ。
しかし石川佳純は完全無欠ではない。時にプレーが乱れてしまう時もある。事実、決勝もリードしてから単調になってしまった、と反省を述べている。
卓球は精神面が大きく勝敗に左右する。それを克服できるのは自身だけである。その最も手ごわい「敵」を石川は最後にねじ伏せてしまう「力」を持っている。
「去年はプレッシャーを感じてプレーしていました。でも今回は去年ほど感じませんでしたし、プレッシャーを力に変えられたというか、応援の力もあったし、思い切ってプレーできたと思います」
前回の全日本選手権と今回の全日本選手権を比較してもらった。
「2015年末、そして年が明けて、たくさん練習できていたし、良い準備はできていました。
日頃から攻めを早くしたい、と思っていますし、ラリーになってもただ返すだけでなく、自分から仕掛けたり、仕掛けられない時は、コースを突く意識でプレーしています」と近況を聞くことができた。
「ベスト8決定戦の宋(恵佳/中国電力)さんの試合が印象に残っています。これまで何度か対戦したことがあり、今回の宋さんは調子が良いと感じました。もっと競ってもおかしくないと思ったのですが、自分の調子も良かったのか、その上を行くことができたので勝つことができました」
常に挑戦を受ける立場にいる石川が、『相手より上に行く』という心理状況になってしまえば、相手は崩すのは困難だろう。

 

意識した「身体」の使い方
2015年9月のアジア選手権を怪我で欠場。不安があったという。しかしその怪我が転機となり、さらに強くなった、とも話してくれた。身体を一から鍛え直したのである。災い転じて福となす、とはこのことである。
「練習することも大事だけど、身体のケア、身体の使い方、身体への意識が変わりました。練習をちゃんとできる身体作りをして、練習をやり込むことが重要だと思えました。それ以降はしっかり練習がやり込めていると思うし、厳しい練習にも耐えられるようになったと思います。
たくさん課題があると思いますが、サービス・レシーブをもっと磨いていきたい。
相手の攻めるポイントを見つけ、そこを攻撃してチャンスを作り、得点をあげる、そういうことが今後必要になってくるし、そこを攻撃していくのが特徴だと思います。自分の良い部分をもっと伸ばして、もっと上を目指したい」と語る。
世界のトップ選手も進化しているが、石川も進化している。世界で勝つにはどのような選手であるべきなのか、を石川は常に追求しているのではないか。
全日本選手権優勝を自信に変えて、女王の挑戦はまだまだ続く。