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2024.02.24

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「頑張ってきたことが報われたんだな」伊藤礼博(日本大)全日本選手権男子複優勝インタビュー 後編

 

2024年全日本選手権大会(以下、全日本)、男子ダブルスで優勝を果たしたのは、日本大学の小林広夢・伊藤礼博(日本大)ペア。昨年敗北を喫した及川瑞基・松島輝空(木下グループ・木下アカデミー)を準決勝でくだすと、決勝では前回王者の張本智和・森薗政崇(智和企画・BOBSON)に勝利し、初優勝を果たした。

個人戦、団体戦を通じて、全国大会での優勝は初という伊藤礼博に、決勝の振り返りと今後の抱負について語ってもらった。

前編こちら。

 

――決勝の相手は、前回王者の張本・森薗ペアでした。優勝会見では「分は良いと思っていた」という意外な言葉も聞かれました。

張本・森薗ペアは及川・松島ペアよりもラリー型なので、やりやすいのではないかと二人で話していました。張本選手はブロックが固く僕たちの威力では抜けないので、ラリーで勝負して我慢比べをしようという戦術を立てました。

 

――実際にやってみて、狙いどおりでしたか?

そうですね。相手のボールの質が高すぎて、逆に当てるだけで入ってしまうくらいでした。ですから、僕は入れるだけで広夢さんにつないで、決めてもらうパターンばかりになりました。広夢さんのボールを相手が嫌がっていたのかはわからないのですが、張本選手もブロックできていなかったので、すごいなって。僕は勝つためにブロックに徹していました(笑)。

 

――少しずつ優勝が近づいていく時は、どういう心境でしたか?

4ゲーム目の前半、少しリードしたくらいから緊張し始めました。ビデオで振り返るとわかるのですが、打ち方もおかしくなっています。ただ、ブロックなら角度さえ合えば入るので「落ち着いて、落ち着いて」と自分に言い聞かせていました。

 

 

――優勝が決まった瞬間はどんなお気持ちでしたか?

その瞬間は信じられなくて、実感もわかなくて。ただ、今まで頑張ってきたのが報われたんだなと、とにかく嬉しかったです。

 

――小学生の頃から知り合いというパートナーとの優勝は感慨深いですよね。

そうですね。広夢さんとはチームは違いましたが、小学生の時に週1回ほど一緒に練習していた仲で、大学に入ってからもすごくお世話になっている先輩です。僕はダブルスが不得意なので、サービス、レシーブ、コース取り、全てを教えてもらっています。こうして一緒に優勝できて良かったですし、いつもクールな広夢さんがあんなに嬉しい顔をしているのを初めて見られたのも印象深いです(笑)。

 

――準決勝、決勝はチームメイトの応援もすごかったですね。

すごく力になりました。練習相手をしてくれたチームメイト、いつも不自由ない練習環境を整えてくださっている日本大の氏田(知孝)監督、川端(友)コーチ、後藤(卓也)コーチ、チームのみんなには感謝の言葉しかないです。

また、ここまで支えてくれた家族、大会前からたくさんアドバイスをしてくださった新井卓将コーチにも感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

――伊藤選手は大学から急成長したように感じますが、その要因はなんでしょうか?

日本大に入って、JOCエリートアカデミーや愛工大名電高など、強豪校のすごさを知ったのが大きいです。練習の質、意識、考え方の違いを感じました。

たとえば、僕は競った場面ではとりあえず入れて相手のミスを待つという感じでしたが、広夢さんは競った場面で「チキータでいけ」って言うんですよ。「入るかどうかわかんないですけど…」って僕は思ってしまうのですが、強豪校の人はそういう場面でも自信を持っていくものなんだなと。

先輩たちの考え方を試合や練習から教わることで、それが自分に生きていると感じます。

また、先輩たちは本当に細かいことでも、すぐにアドバイスをしてくれます。足の動かし方が少し違うだけでも、です。教え方が上手で、かつ少し厳しめにアドバイスをしてくださるのが、いい刺激になっています。

 

――環境が変わった以外に、自分自身で変えた部分はありますか?

高校までは、練習は質よりも量をこなすという考え方でしたが、大学に入ってからは量より質になりましたね。強い選手と打つとどうしても疲れてしまうので、量をこなすのではなく、短い時間で思いきり頑張るという考え方になりました。

また、積極的に強い人と打つ機会を作ることの大切さも学びました。部活の練習であれば、自から先輩に相手をお願いするとか、今回の全日本前もダブルスの練習で協和キリンさん

に行かせていただいて、試合前に充実した練習ができました。

 

――これからの目標を教えてください。

いま一番ほしいのはインカレの優勝です。関東学生リーグは春と秋で優勝しているのですが、インカレは3年連続3位という結果なので今年こそは、という気持ちです。ダブルスのペアはまだ決まっていませんが、広夢さんという強い左利きの選手がいるのは今年が最後なので、チャンスがあるとしたら今年しかないと思っています。

個人戦では全日学で成績を残したいですね。全日本で上位を目指す前に、まず先に全日学でベスト4以上に入りたいです。

 

――全日本チャンピオンになって、今まで以上に注目されるようになると思いますが、大学卒業後のビジョンはありますか?

まだ考えているところで、具体的にはありません。まずは、大学4年間で卓球を思いきり頑張りたいというのがいまの気持ちです。

また、「大学で卓球をやるなら日大に入りたい」と思ってもらえるようなチームにしていきたいですし、そういった部分でもチームに貢献できるよう、これからも頑張ります。

 

――ありがとうございました