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2020.08.25

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『中国』はなぜ強いのか。

昭和22年創刊、800号を迎えたニッタクニュースのバックナンバーから編集部がピックアップするページです。今回は番外編!事情で、当時はリアルタイムの記事公開ができずにいたお話をお届けします。

 

緻密な戦術。緻密な分析

 

2011年世界選手権ロッテルダム大会。馬龍(中国)は、男子シングルス2回戦でトキッチ(スロベニア)と対戦した。

筆者の個人的見解だが、中国選手は『細かい台上技術』、ヨーロッパ選手は『大きなラリー戦』が得意というイメージがある。試合をご覧になられた方はご承知のとおりでしょうが、素晴らしいラリー戦が展開された。

結果は、予想通り馬龍がゲームカウント4対2で勝利。しかしスコア以上に接戦の内容であった。1ゲーム目はトキッチが13-11で取る。2ゲーム目は馬龍が取るが7-9と終盤までリードを許す展開であった。3ゲーム目は再びトキッチが取る。しかし4ゲーム目以降は、馬龍が対応し、勝利した。

馬龍のベンチは劉国梁。どんなアドバイスをするのだろう、と気になっていた。「台上で先手を取れる展開は得点に繋がっている。しかし大きなラリー戦では相手(トキッチ)に分がある。相手はレシーブを台から出やすくするよう、YGサービスを多用してくる。レシーブがポイントだ。打ち合ってはダメだ」と劉は第1ゲームが終わってアドバイスしていた。しかし若い馬龍は戦術を徹底できず打ち合ってしまい接戦を演じてしまった。

 

ボール1つ分サイドを切らせる

 

あるダブルス。右シェーク同士のペアとカットと攻撃の変則ペアが対戦。攻撃ペアが1ゲーム目を接戦の末に取る。ベンチに入ったのは当時女子監督の施之皓。彼もまたアドバイスが的確であった。彼は「ボール一つ分サイドを切らしなさい。サイドを切ることにより、相手は『1歩前』に出なくてはいけない。そうすれば足が止まり重なる。」とアドバイスをした。アドバイスのおかげもあり、2ゲーム目以降は一方的なスコアになってしまった。アドバイスももちろんであるが、戦術通り実行できる選手の技術も凄まじいと感じた。

 

サービスエースはさせるな

 

ある中国選手が、サービスの上手い選手と対戦。何本もサービスエースを許してしまうが、浮いてでもレシーブできている時は得点できていた。1ゲーム目が終わり、ゲーム間のアドバイス。一体どんなアドバイスをするのだろう、と聞き耳を立てた。「レシーブミスしたくない、と思って消極的になっている。だからミスをしてしまう。ラリー戦になれば得点できているんだ。浮いてでも思い切って真ん中に深くツッツキするんだ。深ければ早いドライブはこない。中途半端なレシーブをしてしまうから好きに3球目を打たれてしまう。わかったか?」とアドバイス。2ゲーム目以降、ギアを入れ替えた同選手。見事勝利した。

 

~~ワンポイント中国語卓球用語講座~~

 

直拍(zhi pai) … ペンホルダー

横拍(heng pai) … シェークハンド

接球(jie qiu)… レシーブ

発球(fa qiu)… サービス