マンスリースペシャル

Dreams come true


宮崎義仁
監督


卓球ファンのみならず、多くの人が固唾を飲んで見守った世界選手権広州大会(団体戦)

男女揃ってベスト4入りし、「日本ここにあり」と強く印象づけ、スピードと迫力のプレーを見せつけた日本チーム。
その指揮官である男子の宮崎義仁監督、女子の近藤欽司監督にお話をうかがった。銅メダル獲得の舞台裏で何が起こっていたのか...



宮崎監督にとって予期せぬ出来事が起こったのは、8年ぶりのメダルを確定した直後のことだった。
日本チャンプ・水谷隼の変幻自在なプレー。
パワー溢れる吉田海偉とベテランの韓陽がうまくかみ合い、前回大会14位からの飛躍。ベンチもスタンドも、そして恐らくお茶の間のファンも大いに沸いたはずだ。

しかし、ひとり宮崎監督だけは冷静だった。
それは、合宿や大会期間中のミーティングでこういい続けてきたことに現れている。
「俺たちの目標は、銅メダルではない。中国を苦しめ、そして中国に勝って王座を奪還することなんだ」
ベンチサイドでは、感極まって涙を見せる選手がいた。
気持ちはわからないではない。
しかし、宮崎監督は心を鬼にしてこう言い放った。
「ちょっと待て、なぜ泣いているんだ。今回の目標は、中国とあたるところまでいくことだ。だから次、勝って初めて目標を達成する場面がくるんだ」
 するとそのとき、
「宮崎さんの言うとおりだ。なぜ泣く。勝負はこれからじゃないか」という選手もいた。

宮崎監督が振り返る。
「そういう意識の浸透も、あるにはあった。しかし総じて、まだまだ本気で中国を倒すという意識に、僕が選手をコントロールできていなかったことは否めません」

そして迎えた準決勝の相手は、アテネ五輪のチャンピオン・柳承敏を大黒柱にする韓国だ。この一大決戦を前に、宮崎監督はこう考えていた。
「韓国には、10回中7回は勝てるはずだ」

しかし結果は、韓陽が1点取ったものの、水谷が競りながらも2点落とし、吉田も敗戦。結局1‐3で敗れてしまう。

それまでの日本の快進撃に、韓国は非常に危機感を抱いていたのではないだろうか。
あたかもチャレンジャーのように立ち向かってきた韓国に対し、日本はメダルを確定しホッとした気持ちがなかったか。
そのわずかな気持ちの持ち方の違いが、「勝者と敗者」という天地ほども違う結果を生み出したのかもしれない。

「ベンチにもスタッフにも、メダル獲得の安堵感が生まれたのではないか。そこに韓国がつけ入れられてしまった。ですから、意識の浸透という面において、これは監督としての私の責任です」
誤解のないように言えば、今大会の日本男子は非常に素晴らしい戦いを見せた。それは誰もが認めるところだろう。しかし、足りないところもあったことは確かだ。
「銅メダルを獲ったことは素直に喜びたい。でも、満足は全くしていません」
 と宮崎監督は語り、こう今後のビジョンを描く。
「この世界選手権では、中国とあたって中国を苦しめることが目標でした。それが北京五輪につながる。北京ではさらに苦しめ、ロンドン五輪では中国に勝つ。今回、その一歩手前まできたと思います。ですから北京五輪では、大いに中国を苦しめ、打倒中国は日本だとアピールしたい。」

宮崎監督の続きと世界選手権大会の詳細・記録は「ニッタクニュース5月号」に掲載しています

マンスリースペシャルは NITTAKU NEWS より抜粋してウェブ上で公開しています。
↑この頁の上へ戻る