マンスリースペシャル

平成18年度 全日本選手権
平成19年1月16〜21日   於・東京体育館



 男子シングルス優勝:水谷 隼〈青森山田高校〉
17歳、史上最年少優勝
若き才能が開花し、新しい時代が幕を開けた。

17歳、高校2年の水谷が史上最年少で王者に輝いたのだ。
これまでの記録は、元世界チャンピオンの故・長谷川信彦さんが昭和40年作った18歳だった。
水谷は今大会、岸川聖也と組んだ男子ダブルス、男子ジュニアと合わせて3冠を達成した。

ダブルスを制した時点で水谷は「シングルスも勝ちます」と力強く宣言していた通り、積極的な攻めを見せ快挙を成し遂げた。

決勝は、3連覇を目指す吉田海偉と激突。
1セット目、6‐8から5本連取してペースを握った。
特に、8‐8からは、3球目を回り込んでフォアハンドの強ドライブを決めるなど、勝負どころで果敢な攻めが光った。

第2セットもジュースの接戦となったが、サーブが効果的で、攻守に冴えをみせた。
結局、ほぼ危なげない内容で勝利を収めた。

「今年は優勝する力があると思い、全力でぶつかっていきました。世界選手権とオリンピックで活躍できるようがんばります」(水谷)

 女子シングルス優勝:平野 早矢香〈ミキハウス〉
2年ぶり3度目の優勝
「3回目の日本一は1、2回目とはまた違ったうれしさがあります」
そう平野自身が語った背景には、この1年、思うようなプレーができなかった苦しさが表現されていた。
しかし、昨年後半から少しずつプレーが安定し、世界選手権選考会(06年12月)では15戦全勝で代表権を早々に獲得していた。

今大会も、6試合で失ったセットはわずかに5つだけ。
抜群の安定感を誇り、危ない場面はほとんどなかた。
しかし本人は、「どの試合も厳しい試合だった」と、精神的に苦しかったことを打ち明けた。
「今後は、世界のトップクラスと毎回五分の試合ができるように、自分のレベルをあげて挑戦していきたい」
そう話し、世界での戦いを視野に入れ、手ごたえをつかんでいるようだった。
全日本の決勝という選ばれし者のみが戦える舞台に3度登場し、そのすべてで勝利を収めた芯の強さが、平野をさらに大きな選手へと成長させていく。

13歳の素顔 石川佳純〈ミキハウスJSC〉

今大会最も注目を集めたのが、13歳、中学2年生の石川佳純だ。
福原愛が中学2年で達成したベスト8を上回り、ベスト4という快挙を成し遂げたのである。

ナショナルチーム女子の近藤欽司監督は、そのプレーについてこう話す。
「特に、競り合った場面であって、思い切った攻撃がしかけられるのが素晴らしい。ボールタッチも天才的なものがある。近い将来、ぜひ日本を背負っていって欲しい」

今回の大会でも、たとえば、ランク入りをかけた河村(十六銀行)との試合で、最終セット6‐9から9‐9に追いついた場面で、小さい
サーブを強く払って得点した。
なかなかできない技である。
その後も、大接戦をことごとく制し、ベスト4に入ったのである。

藤井との準決勝も第7セット、8‐4と決勝進出が見えてきたが、ここで焦ったのか、簡単なミスを犯し逆転を許してしまった。

母・久美さんは言う。
「この1本を取ったら勝てると思っていました」
だが、これもまたいい経験として、必ずや将来に生きるに違いない。

元国体選手の久美さんのもと、6歳から始めた卓球は、まだまだ発展の途上である。
「嵐」の松本潤が大好きという13歳は、純真無垢な少女なのである。


大会記録

 男子シングルス
水谷が史上最年少(17歳)優勝
大矢
(18歳)がベスト4に入る 
準々決勝。吉田対偉関。最後は吉田のドライブが偉関のブロックを崩す。

大矢対下山。タイミングの速いドライブで大矢に軍配。

田崎対横山。3ゲームジュースとなるが、流れは終始田崎。

水谷対木方。木方の中陣からのドライブに苦戦はしたものの、勝負所をきっちり決めた水谷が逃げ切る。

準決勝。前半は大矢の形だったが、上半身をフルに使う疲労からか、後半は吉田のペース。

水谷対田崎。大会随一の好ラリーとなり、第7ゲームも先にマッチポイントを握っていた田崎だったが、最後は水谷の粘り勝ち。

決勝は、サービスから積極的に攻めた水谷が史上最年少(17歳7ヵ月)の王者となる。
●準々決勝●
吉田海偉5-87-1096偉関晴光
(日産自動車)   (TEAM JUIC)

大矢英俊51178下山隆敬
(青森山田高)  (早稲田大)

田崎俊雄7101014横山友一
(協和発酵)    (青森大)

水谷 隼5-6-7989木方慎之介
(青森山田高)     (協和発酵)

●準決勝●
吉田海偉-87-41266大矢英俊
水谷 隼-9-133139-911田崎俊雄

●決 勝●
水谷 隼810-665吉田海偉

 女子シングルス
平野が2年ぶり3度目の優勝
13歳石川
(中学2年)が4強入り
準々決勝。石川対樋浦。3-1と樋浦がリード。しかし、3ゲーム連取した石川が逆転。対樋浦には一度も勝ったことがないと言っていたが、ブロックと強打のコンビネーションが抜群に冴えた。

藤井対田勢。藤井が後半の勝負所をきっちり押さえる。

平野対照井。終始平野のペース。

小西対潮崎。渡辺戦を逆転で切り抜けた小西が安定したプレーを見せる。

準決勝。藤井対石川。最終ゲームまでもつれ、8―4で石川がリード、最後も10-9であったが、藤井がしぶとくかわす。

平野対小西。終盤までは競り合うものの、最後は平野がポイント。

決勝。スコアは4-2であったが、流れは平野ペースで、平野が2年ぶり3度目の優勝を遂げた。
●準々決勝●
石川佳純11-7-9-4698樋浦令子
(ミキハウスJSC) (ミキハウス)

藤井寛子5-109108田勢美貴江
(日本生命)      (十六銀行)

平野早矢香4-4574照井萌美
(ミキハウス)   (秀光中等教育)

小西 杏4-5585潮崎由香
(アスモ)      (十六銀行)

●準決勝●
藤井寛子8-88-68-710石川佳純

平野早矢香9-9799小西 杏
 
●決 勝●
平野早矢香9-838-76藤井寛子

 男子ダブルス
岸川・水谷が初優勝
優勝した岸川・水谷組は、実業団で活躍する遊澤・韓陽、荻原・三浦、倉嶋・田勢、そして決勝では木方・真田を下し、初優勝を遂げた。
「ポーランドオープンでボル組(ドイツ)に勝ったのが自信になった」(岸川)
「遊澤さんたちとの試合が勝負でした」(水谷)

決勝にはラリー戦に強い木方・真田組が、途中、高志・三原組に1ゲーム取られただけという安定したプレーで進んだ。

3位には、テクニシャンの倉嶋・田勢組(協和発酵)と渡辺・並木組(シチズン時計)が入った。
●準々決勝●
倉嶋・田勢5-798時吉・下山
(協和発酵)  (早稲田大)

岸川・水谷 645荻原・三浦
(スヴェンソン・青森山田)(JR北海道)

木方・真田 657坪口・垣原
(協和発酵)  (青森大)

渡辺・並木-121183坂本・松平健
(シチズン時計)(青森大・青森山田中)

●準決勝●
岸川・水谷-8728倉嶋・田●

木方・真田111011渡辺・並木

●決 勝●
岸川・水谷84-93木方・真田

 女子ダブルス
女子複は金沢・藤井が初制覇
混合ダブルスに優勝し、2冠目を目指した小西・福原組が初戦(スーパーシード4回戦)で敗れるという波乱。
破ったのは、リーグ戦で活躍する渡辺・野上組(中大)
「2年間組んでいて、お互いが何をするかわかっているので、いつも通り落ち着いてじっくりできました」(渡辺)

準決勝には、実業団の4ペアが進んだ。
田勢・潮崎組(十六銀行)対梅村・岸田組は、第2ゲーム後半からコンビプレーが合いだした田勢組が梅村組を下し、決勝に進出。
一方の金沢・藤井組対藤沼・平野組は、金沢組がゲームオールの熱戦の末に藤沼組を下し決勝に進んだ。

決勝は、金沢組のペースで進み、ストレート勝ちかと思われたが、粘りを見せる田勢組が2ゲーム返し、最終ゲームも接戦となったが、金沢・藤井組がきわどく制した。
●準々決勝●
石川佳純11-7-9-4698樋浦令子
(ミキハウスJSC) (ミキハウス)

藤井寛子5-109108田勢美貴江
(日本生命)      (十六銀行)

平野早矢香4-4574照井萌美
(ミキハウス)   (秀光中等教育)

小西 杏4-5585潮崎由香
(アスモ)      (十六銀行)

●準決勝●
藤井寛子8-88-68-710石川佳純

平野早矢香9-9799小西 杏
 
●決 勝●
平野早矢香9-838-76藤井寛子

 混合ダブルス
昨年優勝の足立・福岡組、3位の小野・山崎組、阿部兄妹が3、4回戦で敗れたなか、接戦を勝ち進んだ坂本・福原組が2年ぶり2回目の優勝を遂げた。

決勝には、谷口・大橋(シチズン・サンリツ)が進み、ゲームオールの接戦となるなど、優勝の可能性も十分あっただけに残念。

3位には、学生の原・杉田(専大)とていねいなプレーを見せた末貞・山崎(東京アート・サンリツ)が入った。
●準決勝●
谷口・大橋5-3-1079原・杉田
(シチズン時計・サンリツ)(専大)

坂本・福原4710末貞・山崎
(青森大・グランプリ)(東京アート・サンリツ)

●決 勝●
坂本・福原6-144-88谷口・大橋

 ジュニア男子
水谷が2年連続3度目の優勝
高岡が松平健を下し3位入賞
水谷、松平健、松平賢を中心に展開されると思われた男子ジュニア。
松平健は、準々決勝で高岡の巧いレシーブに敗れ、ベスト8に終わったが、水谷と松平賢は決勝に進出、このクラスでは余裕のプレーを見せた水谷が3度目の優勝を飾った。 

準々決勝。水谷対笠原。第3ゲームは互角の勝負だったが、水谷が準決勝に駒を進める。

甲斐対佐藤。安定した両ハンドプレーで甲斐のストレート勝ち。

松平賢対上田。先手必勝。松平が先輩の貫禄を見せる。

高岡対松平健。試合前は、世界ジュニア王者の松平有利という予想だったが、松平のサービスを苦もなくレシーブ処理した高岡が3-1で松平を下す金星。

準決勝。水谷対甲斐。勝負所をきっちりポイントする水谷が決勝に進む。

松平賢対高岡。2-0と高岡がリードしたときは、再び金星かと思われたが、第3ゲームから積極的なプレーを見せた松平が逆転。しかしながら、高岡のレシーブ処理が光っていた。

決勝。水谷対松平賢。相手の態勢を見ながら、常に台との距離を考え、余裕のあるプレーを見せた水谷が2年連続3回目の優勝を遂げた。
「松平君が向かってきていたので、自分も向かっていく気持ちでプレーしました」(水谷)
●準々決勝●
水谷 隼6711 笠原弘光
(青森山田)   (東山)

甲斐義和637 佐藤 慧
(明豊)     (上宮)

松平賢二77-16上田 仁
(青森山田) (青森山田中)

高岡諒太郎-81088松平健太
(実践学園)   (青森山田中)

●準決勝●
水谷 隼599 甲斐義和

松平賢二-10-9628高岡諒太郎

●決 勝●
水谷 隼76-47松平賢二

 ジュニア女子
石川(ミキハウスJSC)が優勝
中3の岡崎が3位入賞
女子ジュニアは、石垣対石川の対戦と予想されたが、準々決勝で藤井がていねいなカット打ちで石垣を下し、決勝は、石川対藤井の同門対決となった。
藤井もミスの少ない両ハンド攻撃で対抗したが、タイミングの速い攻撃を見せた石川が3-1で藤井を下し、初優勝を決めた。
「まだ、実感がわかないですが、すごくうれしい。お世話になっている大嶋先生、作馬先生とかに伝えたいし、いろいろな人たちに感謝したい。決勝の藤井さんは年上だったので、自分ができることをやろうと思いました」(石川)。

準々決勝。藤井対石垣。変化を見極め、最後までしっかりカット打ちを見せた藤井に軍配。

若宮(尽誠学園)対有田(新田)。四国同士の対戦は、若宮のストレート勝ち。

石川対田中。中学2年生とは思えない落ち着いたプレーで田中の速攻をかわす。

岡崎対池田。粘るボールは粘り、チャンスボールはしっかり強打を決めた岡崎が、模範的なカット打ちでベスト4に進む。

準決勝。藤井対若宮。ラリー戦の展開となったが、バックハンドが安定していた藤井がわずかに優り、逃げ切った。

石川対岡崎。全中でも大接戦を演じている両選手。果たせるかな、今回も1本を争う熾烈な展開となった。スコアこそ3-1だったが、各ポイントは99-1012と接戦。特に第4ゲームは岡崎リードで進み、ゲームポイントを握る場面もあっただけに岡崎にとっては残念な結果。しかしまだ中学3年生。これからも雪辱のチャンスは十分。そして、両選手の対戦はしばらく続くだろう。

決勝。石川対藤井。きれいなバランスから両ハンド攻撃を見せる石川。バックドライブが安定している藤井。お互いが持ち味を発揮し、決勝戦にふさわしい内容となったが、3-1で石川が栄冠を獲得した。
●準々決勝●
藤井優子71010石垣優香
(四天王寺) (秀光中等教育)

若宮三紗子795有田朱里
(尽誠学園)   (新田)

石川佳純6-939田中由貴
(ミキハウスJSC) (山陽女)

岡崎 恵1058池田友里佳
(武蔵野中) (ミキハウスJSC)

●準決勝●
藤井優子888若宮三紗子

石川佳純99-1012岡崎 恵

●決 勝●
石川佳純10-958藤井優子



取材:片野賢二、浅見拓志、温哲亮、芳賀順子、安部俊太郎、青柳雄介
(以下、詳細は「ニッタクニュース3月号」に掲載)

マンスリースペシャルは NITTAKU NEWS より抜粋してウェブ上で公開しています。
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