マンスリースペシャル
フロントランナー
日本女子を世界3位に導いた

近藤欽司
監督

サプライズ---の連続だった。
世界選手権ブレーメン大会(団体戦)の日本女子の活躍である。
さらに輝きを放つ色のメダルを目指していた関係者たちは悔しさをにじませるが、3大会連続の銅メダル獲得は賞賛に値する。
そしてそこには、いまだからこそ語れる隠された真実があった。


サプライズ人事だった「秘密兵器」の起用


「銅メダルを獲得でき、最低ラインは確保したのでホッとしましたが、帰国すると、もっと行けたんじゃないかと、悔しさがジワジワとわき上がってきました」
こう語るのは、ナショナルチーム女子監督の近藤欽司先生だ。
日本を世界のトップクラスチームとして率いた同監督に、福岡春菜(中国電力)のサプライズ起用を中心に、今回の世界選手権について伺った。

「過去の大会を見ても、世界選手権は厳しい戦いになっています。準備と練習が相当しっかりできていないと勝てません。女子の場合、同じくらいのレベルの選手が多く層が厚い。従って、選手選考には頭を悩ませました」

中でも驚かされたのは、福岡春菜の選考。
直近の全日本ではミックスで優勝しているとはいえ、シングルではランクにすら入っていない。それでも近藤監督は、福岡を使う決意をしたのだ。その経緯については、
「私の中で福岡の起用を決めたのは、実は1年以上前でした。もちろん、ある程度の成績を残してくれなければ選考に納得してくれない人がいるでしょう。ですから福岡には『がんばればチャンスがあるよ』というような言い方をしておいたんです。そしてノルマを課し、妥協させなかった。
福岡起用の理由はいくつかあります。異質ラバーで変化があること、サーブが抜群にうまいこと、そしてシンガポールのリ・ジャウエイに中国オープンで4-0で勝っていること。上位進出のためには、どうしてもシンガポールに勝つ必要がありますから」
と話す。

福岡のその必殺サーブは、福原を凌ぐような「王子サーブ」である。ボールを高く投げ上げ、落ちてくる際にしゃがみこみながら出すサーブだ。初対面では特に威力を発揮する。

実に1年以上の期間をかけてこの団体戦についてのイメージが、監督の中ではできていたのである。

それだけでも十分サプライズなのだが、近藤監督はさらなる仰天プランを明かしてくれた。
「福岡はああいう形の選手ですから、外へ出して試すと慣れられたり研究されたりする。秘密兵器として使いたかったので、そう簡単には出せません。そこで、国際大会にはほとんど出さずに強化を図ったわけです」

女子日本代表は金沢咲希、福原愛、平野早矢香、藤沼亜衣、そして福岡春菜---、この布陣での臨戦態勢となったのである。
近藤監督が掲げたのは「ポジティブな挑戦者」というキャッチフレーズだった。

見事なチームワーク 予選リーグを全勝で突破

サプライズは、まだ終わらない。
通常、こうした国際大会でのオーダーが選手に伝えられるのは前日のことだ。各国の戦力を分析したり、自国チームの調子を見たりなどするためである。しかし、
「現地に入ったのが16日。そして18日にはオーダーを選手に発表しました。日本にいるときから、スタッフと時間をかけ相手国に対しベストのオーダーをシュミレーションしていました」 と、近藤監督は回想する。
このことによって、各選手は自分の役割をそれぞれに認識し、雰囲気がガラリと変わったという。自らの果たすべき責任が明確になり、すなわち練習内容もより具体的になったのである。
(詳細はニッタクニュース2006年7月号に掲載)


マンスリースペシャルは NITTAKU NEWS より抜粋してウェブ上で公開しています。
↑この頁の上へ戻る