マンスリースペシャル
日本の肖像
加古川中部中学校 丸田二郎

泣き虫先生と51人の生徒たち

全国中学校大会や中学選抜で常連校になりつつある、兵庫県の加古川中部中学校。
その指導者・丸田二郎は、多くの初心者を短期間で成長させるなどカリスマ的な存在だ。
しかし指導者としてはまず野球部からのスタートだった。

加古川中部中で丸田は、女子卓球部の顧問となった。
練習場所はやはりセメントの体育館ギャラリー、部員51人、卓球台1台に10人以上、練習時間は冬場1時間、夏場でも2時間。
相変わらず、練習の環境はいとは言い難い。だが、そこはさまざまな工夫を凝らすのが丸田流だ。

そんな中、一昨年の全国中学校大会と昨年の全国中学選抜で中部中はベスト4に進出するという快挙を達成した。
特に選抜は準々決勝で名門・武蔵野中と激戦になった。
前半は1-1。だが、中部中のダブルスからうしろの4人は、中学から卓球を始めた子たちだ。
ダブルスを取り4番を落とし、ラストに持ち込んだ。
勝負は大接戦、フルセットになったとき丸田はこうアドバイスした。

「いまからキレイにサーブ出して、ちゃんと攻撃しようと思ったらアカン。自分でもどんな回転出したかわからんくらい思い切ってサーブ出せ!ほんなら相手も分からんやろ」

奇跡が起こった。サーブが効いて勝ち、ベスト4入りしたのだ。丸田が解説する。

「言葉は悪いですが、“全中勝ち逃げの理論”というんです(笑)。ずーっと勝たんでもええ、初対面の相手に一発勝つには、こういうアドバイスもあり、なんです。そういう考え方ができるようになって、まぐれが2回起きました」

ベンチからチームメイトに
声援をおくる加古川中部中
試合後、時間をかけて行なう
中部中学のミーティング

ほかにも丸田には“卓球ジャンケン理論”というのがある。
ある大会のミーティングだった。

「お前が負けたのは、フォア側が下手なのがバレてしまったからだ。ジャンケンでいうとグーとパーしかよう出せん。チョキというフォア側ができない。だから相手にずーっとパーを出される。すると引き分けか負けしかない。すごくいいボールじゃなくても、チョキがちょろっと出せると勝てるようになるんだ」

強烈なグーやパーでなくても、グー、チョキ、パーの3つが出せることが大事だと丸田は言う。

そんな丸田が最も大切にしているのは、勝つことではない。一生懸命やることの大切さを常々説いているのだ。

「全力で走ったり全力で応援したり。日本一にはなかなかなれないけど、日本一の応援や日本一の入場行進は、やろうと思えば誰でもできる。ホンマは誰でもできるけど、それが一番難しいことや」

よく生徒にこう話すという。そして
「ホンマに辛い練習をしてきたからこそ、喜びも悔しさもあるんです。ホントに感激したり、悔しくて本気で泣いたりすることができたら素晴らしいですね」


加古川中部中の選手たち。第6回全国中学選抜大会にて


マンスリースペシャルは NITTAKU NEWS より抜粋してウェブ上で公開しています。
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